22/05/2026
【再審見直し法案】
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メールマガジン第178回目の投稿です。このメールマガジンでは基本的な法律知識等を皆様にお知らせしていきたいと思っています。
今回は、再審制度を見直す刑事訴訟法改正案について解説したいと思います。
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<概要>
今月5月14日、自民党の部会が再審制度を見直す刑事訴訟法改正案を了承し、同月15日、政府は改正案を閣議決定し、国会へ提出しました。
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再審制度の見直しは、一昨年の袴田巖(はかまだいわお)さんの再審無罪事件がきっかけとなりました。袴田さんの再審事件については、弊事務所のコラムでも解説しましたが、1回目の再審請求から43年かかって再審無罪が確定しました。
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今回の法案提出にあたっては、政府が法改正の検討を法制審議会に諮問し、法制審議会の答申を受けて法務省は改正作業に入るとともに、自民党も部会で審査を始めました。
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しかし、政府(法務省)の案と自民党の考えが合わず、審査が紛糾しました。
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<法務省と自民党の見解の相違>
法務省と自民党の見解の大きな相違点は、裁判所の再審開始決定について検察官が不服申立(抗告)を行うことを禁止するか否か、という点でした。
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自民党の部会では、検察官の抗告を禁止するべきだ、との考えだったのに対して、法務省は、「三審制で確定した判決に対して裁判所の1回の判断で再審が行われるのはおかしい」として、反対していました。
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<最終案で合意>
最終的には、検察官による抗告は原則禁止として、「十分な根拠がある場合に限り」例外的に抗告を認める、という案を法務省が提出し、自民党がこれを了承しました。
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<改正法案の問題点>
この改正法案の問題点は幾つかありますが、裁判所の再審開始決定に対して検察官が抗告を行うことを原則禁止する、という点に限って解説します。
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<問題点1つ目>
まず、一つ目の問題は、「十分な根拠がある場合に限り」例外的に抗告が認められている点です。
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裁判所が再審開始決定を出しても、検察庁が「十分な根拠があるので抗告します」いえば、抗告審で審理せざるを得ないのではないかと思います。その場合、抗告審において、「十分な根拠」の有無について、数年間、審理が行われる可能性があります。
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<問題点2つ目>
もう一つの問題は、仮に、今回の改正案により、検察官が事実上、抗告を行うことが出来なくなった場合に、「再審公判」の審理が長期化する可能性です。
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これまでは「再審開始決定」の「確定」までに長期間が費やされていましたが、いざ、再審が開始されると、「再審公判」自体は短い審理期間で無罪判決が確定していました。
その理由は、「再審開始決定」が確定した時点で、最高裁までしっかり時間をかけて審理を行ったので、最高裁が無罪と認めたこととほぼ同義だったからです。
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ところが、第一審の「再審開始決定」に対して検察官が抗告をしなかった場合、その「再審開始決定」には高等裁判所も最高裁判所も関与していません。地方裁判所の判断のみで「再審公判」が開始されます。
そうなると、「再審公判」の審理において、検察官は当然、全力で有罪にしようと頑張りますし、「再審公判」の一審で無罪となっても、必ず高等裁判所、最高裁判所まで行くことになります。
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そう考えれば、今回の改正案によって、「再審開始決定」の確定までの時間は短縮するかもしれませんが、最終的な「再審無罪確定」までの全体の時間が短縮されるかは疑問です。
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<最後に>
さらにいえば、今回の改正の流れは、冤罪被害者を救済すべきである、という考え方から出発しています。
そうであるならば、再審の問題に取り組むのではなくて、そもそも冤罪を生んでいる通常の刑事裁判こそ見直すべきであると、個人的には思います。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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宝塚花のみち法律事務所
弁護士 木 野 達 夫
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