29/09/2023
今になって、「それってぱくりじゃないですか?」の最終話について投稿していないことに気が付きました。
文章は最終話が放送された直後に書いていました。今さらですが、せっかく書いていたので投稿いたします。
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最終話は、前話の特許権侵害訴訟の結末についてでした。
主人公の会社がノウハウとして秘匿を決定した新商品に用いている技術について、ライバル会社がした特許出願は情報漏洩によるものではないかということで、その証拠を探すというストーリーです。
研究開発し発売目前となった商品に使用している方法が、ライバル会社の特許権を侵害しているとして侵害訴訟が提起されました。
主人公の会社の新商品に関する発明については、特許出願をするのではなく、他者の追随が困難だろうとのことで、秘匿案件、すなわちノウハウとして秘匿する決定をしていました。ところが、その予想に反し、ライバル会社の特許出願がされており、登録されたことが判明したのです。特許権は先願主義を採用しており、先に発明が完成していたとしても、原則として先に出願したものに独占権が付与されます。そのため、主人公の会社の新商品の発明が危ぶまれることとなりました。
今回はその後のストーリー展開とは離れて、【ノウハウ】に関して書いてみたいと思います。
弁理士同士の間で通称「吉藤」と呼ばれている書籍の中で、ノウハウとは、「産業上実際に利用することができる技術的思想の創作又はこれを実施するのに必要な具体的な技術的知識、資料(技術情報)、経験であって、これを創作、開発、作製又は体得した者(その者から伝授を受けたものを含む)が現に秘密にしているもの」と定義されています。
特許出願をすると、特許要件を満たす場合には独占権が付与される代わりに、出願は公開され、秘密ではなくなります。これに対して、ノウハウとして秘匿する場合のメリットは、秘密性守られ、その秘密が保持される限り権利期間は永久だと言えます。また、仮に特許要件を満たさない場合でも、財産的価値を有する場合がある事です。
このようなメリットがある一方で、他人がそのノウハウを特許出願し、登録された場合、先使用を立証できない限りそのノウハウが利用できなくなる点(まさに今回の場合ですね。)とそのノウハウを他者が利用していても、独占権を有さないため止められないというデメリットがあります。
ノウハウとして秘匿していることで有名なのが、コカ・コーラです。コカ・コーラでは本社工場から送られてくるコカ・コーラの原液をシロップや砂糖などで薄め、炭酸水を入れてボトル詰めして販売しているそうです。そして、原液のレシピについてはあえて特許出願せず、社長と副社長だけが知っていて、一緒の飛行機にも乗らないのだという話を聞いたことがあります。コカ・コーラは今もそうしてレシピをノウハウとして守り続けていますが、それには恐らく、特許出願する以上の費用と労力をかけているのではないでしょうか?
特許戦略の一つとして、公開(オープン)するものと、秘匿(クローズ)するものとを組み合わせる「オープン・クローズ戦略」というものもクローズアップされることもありますが、秘匿するためには、どの範囲で、どのように秘匿するのか、秘密情報を管理するしっかりとした仕組みも必要です。
仕事上、秘密保持契約を結んでおけば大丈夫だと軽く考えている方に出会うこともありますが、契約書の文言一つ一つが大切で、何を秘密情報としているのか、その秘密情報をどの範囲で共有し、どう管理するのか、契約した相手方の従業員がどのような意識で取り扱うのかなど、考えるべきことは山ほどあります。
知的財産を守るということは、こういった一見地味な一つ一つの着実に積み重ねていく事でもありますが、相手の会社の顧問でもない一特許事務所の一弁理士の立場ではなかなかそういうところまで入り込めずにもどかしい思いをすることも多いです。
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